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赤十字の設立背景と国際赤十字

赤十字の設立背景

赤十字の創立者であるアンリー・デュナンは、イタリア統一戦争(1859年)での救護の体験を著した「ソルフェリーノの思い出」のなかで、

  1. 戦場の負傷者と病人は数味方の差別なく救護すること
  2. そのための救護団体を平時から各国に組織すること
  3. この目的のために国際的な条約を締結しておくこと

の必要性を説きました。

この計画の遂行に当たり4人のジュネーブ市民がデュナンに協力し、1863年、ジュネーブに5人委員会を設立しました。同委貴会は、ヨーロッパ16か国に呼び掛け、同年10月、ジュネーブで初の国際会講を開催し、救護団体を各国に創設すること、その標章として「白地に赤十字」を用いることなど全文10か条から成る赤十字規約を採択しました。同会は、後にその名称を赤十字国際委員会(ICRC)とし、1880年以降は、正式に各国救護諸団体の名称に赤十字を使用することになりました。
わが国においては、1877年の西南の役の際に、アンリー・デュナンと同様の考え方から、救護団体「博愛社」が発足されたことが赤十字の始まりです。そして、1886年、日本政府がジュネーブ条約に加盟、翌年博愛社から日本赤十字社に改称し、赤十字国際委員会の承認を得て、国際赤十字の仲間入りをしました。

国際赤十字の活動

赤十字の活動は、「赤十字の基本原則」に基づき、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社運盟及び各国赤十字・赤新月社(各国赤十字社)の相互の協力体制の下に実施されており、国際赤十字とは、これら3つの機関の総称です。
この国際赤十字の中で、日本赤十字社は、赤十字国際委員会(ICRC)及び国際赤十字・赤新月社連盟からの要請に応え、赤十字の標章(赤十字マーク)の下で世界各地で救援活動及び開発協力事業を行っています。

1. 赤十字の七原則

赤十字は、長い歴史の中で、たくさんの人の苦しみをやわらげ、尊い生命を守ってきました。
また、人間一人ひとりが協力して助け合う活動を続けてきました。
これらの活動を行うときの基本的な考え方を7つの原則にまとめています。

人道

1. 人道

赤十字は戦場で傷ついた人を敵・味方の区別なく助けたいという願いから生まれ、いつでも人間の苦しみをやわらげ生命と健康を守るために努力します。
赤十字は、世界の人々が互いに理解しあい、仲良く助け合って平和な世界をつくることに協力します。

公平

2. 公平

赤十字は、国や民族、宗教などの違いによるどんな差別もしません。
赤十字は、苦しみをやわらげることに努め、最も苦しんでいる人から助けます。

中立

3. 中立

赤十字は、いつでもみんなから信頼を受けるために、どんな争いのときでも、どちらも味方しません。

独立

4. 独立

赤十字は、国の助け合いの活動に協力し国の法律に従いますが、いつも活動はこの原則によって自主的に行動します。

奉仕

5. 奉仕

赤十字は、苦しんでいる人、困っている人たちのことを考えて行動し、それらの人々の支えになります。

単一

6. 単一

どんな国にも、赤十字は一つしかありません。赤十字は、その国のすべてにわたって活動します。

世界性

7. 世界性

赤十字は、世界中につながりを持っています。すべての赤十字はつねに協力しあいます。(2016年4月現在190社)

2. 赤十字国際委員会

赤十字国際委員会
(スイス・ジュネーブ)
紛争時に犠牲者などを保護するために、中立な立場で介入することを認められている国際的な機関です。ジュネーブに本部を置き、委員会のメンバーはすべてスイス人で構成されており、活動のすべては執行理事会によって統括されています。財政は、主として各国政府及び各国赤十字社からの分担金によって賄われています。

主な活動

保護

厳正中立の立場で紛争関係にある両者の架け橋となり、捕らわれの身となっている市民や、負傷兵、捕虜の保護、救援にあたります。

医療活動

紛争下で破壊によって停滞している医療活動を支援します。

安否調査

混乱の中で離散した家族や捕虜の間の連絡を仲介します。

帰還援助

捕虜や難民の帰還、本国家族との再開を支援します。

救援活動

紛争下で不足する医薬品や食糧、生活物資を援助します。破壊され、戦火を避けて住家を失う 人々へ、他団体が近けない地域にも入り救援を行います。

普及

国際人道法や赤十字の原則に対する理解を広め、その尊重を図ります。

この他にも国際人道法の厳守などに関し各国を監視したり、新しく赤十字社を承認するなどの役割があります。

国際赤十字委員会のホームページへ

3. 国際赤十字・赤新月社連盟

国際赤十字・赤新月社連盟
(スイス・ジュネーブ)
赤十字国際委員会はが戦時救護を中心に活動するのに対し、国際赤十字・赤新月連盟は、災害救援や保健衛生事業など、赤十字の平時事業を推進しています。1919年、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、日本の赤十字代表が「5社委員会」を結成し平和事業の実現を提唱。同年5月、各国赤十字社の国際的連合体として創設しています。

主な任務は、

  1. 各国赤十字社間の連絡調整・研究、各国赤十字社への支援
  2. 各国赤十字社の設立・発展の奨励推進
  3. 各種災害の被災者に対する救援
  4. 各国赤十字社の災害救護体制の整備および救護活動の支援
  5. 「赤十字・赤新月の災害救援に関する原則と規則」に従い、国際救援活動の調整・指揮をすること
  6. 各国赤十字社が実施する公衆衛生、社会福祉事業への協力・支援・調整
  7. 各国赤十字社による青少年への人道的理想の教育および国際理解、親善の増進
  8. 各国赤十字社の社員募集、赤十字思想普及の支援
  9. 国際赤十字委貴会との合意に従い、国際赤十字の一員として紛争犠牲者に対する援助の提供
  10. 国際赤十字委員会による国際人道法の普及・発展への支援、協力
  11. 国際的分野において各国赤十字社の公式の代表として、各社の信頼性の保護、利益の保護
  12. その他赤十字国際会議により委託された使命の実行などです。

国際赤十字・赤新月社連盟のホームページへ

4. 各国赤十字社・赤新月社(各国赤十字社)

今日では、世界の190カ国が国際赤十字・赤新月社に加盟しています。(2016年4月現在)

なお、赤十字社として国際的に正式に承認される条件は、

  1. 当該国政府がジュネーブ諸条約の締結国であること
  2. 当該社が政府から傷病者救護における公的機関の補助機関として正式に認知されていること
  3. 一国一社で、代表する中央本部を有していること

など10項目から成っています。

各国赤十字社の事業範囲は、時代ともに拡大し、紛争時の傷病者、補膚、文民、難民の救護並びに自然災害時の国内外での救護活動、発展途上国の赤十字に対する開発協力、血液事業、医療・看護事業、社会福祉事業、青少年育成事業などの人道的任務に及んでいます。